風と光をあびてMY-WAY
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人生の生き方を教えてくれた。レモンに感謝。

ツール・ド・フランス黄金時代①

▲1989年。最終エタップ(個人T・T)を疾走するレモン(Greg Lemond)。50秒あった差を大逆転し8秒差でトップとなった。(写真提供=北中康文)。

娘さんはキャンピングケースに、パン、オリーブオイル、チーズ、そしてフランスの地図を入れてツール・ド・フランスを応援に出かける。夫の父を乗せて。それが毎年の出来事で、いつしか彼女もツール・ド・フランスの熱狂的なファンになっていた。

今もレモンが心の中で走っている。

ツール・ド・フランスの時期になると彼は落ち着かない。現役時代は、長距離トラックの運転手として、ヨーロッパを走りとおした。「陸続きのほとんどの道は露地まで知っている」と軽く自慢する。

グルノーブルの郊外に住み、トラックで日々の糧を得て3人の子供を育て、そしてリタイア。今年80歳を超える。足腰が弱くなったため、今は娘さんの運転する車でツール・ド・フランスを応援に行く。フランスのチームではない。一貫してアメリカのチームを応援する。「アメリカのレモン(Greg LeMond)とアームストロング(Lance Armstrong)は、われわれにあきらめずに生きていけ、苦境に負けずに生きていけと、教えてくれた。そのおかげで自分はここまで生きてこれた」と、いう。

そして、今年も「レモンが走るから応援だ」と、いう。しかしレモンは走らない。1994年に引退した。でも彼の心の中では「レモン」が、今もツール・ド・フランスを走り続けている。「人生なんてあきらめてはいけない。最後のエタップで逆転さ。シャンゼリゼで」。力づよいその言葉が印象的だった。

彼の心に生き続けているレモン。どんな選手だったのか。そしてパリでの最終エタップでの逆転とはどんなレース展開だったのだろう。調べ始めていくと一冊の本と一人の写真家にたどり着いた。「ツール・ド・フランス 黄金時代」(株式会社枻出版社=2009年3月20日初版発行)。作者は北中康文。ツール・ド・フランスの黄金時代を撮り続けた写真家である。